まつどSDGsフォーラムを通じて学生が考えたこと
こんにちは、松戸市とともにSDGsの普及啓発や調査研究に取り組んでいる㈱ミライノラボ学生研究員・千葉大学法政経学部4年の北川颯大です。
今回の投稿では、2月17日に行われたまつどSDGsフォーラムの開催に至る過程をお伝え出来ればと考えています。特に、私たち学生メンバーがフォーラムを終えて抱いた感想や、アクションプランを作る際に気を付けた点についてお伝えできれば幸いです。
“Z世代の意見”ってなんだろう?
今回のフォーラムのメンバーが初めて顔を合わせたのは11月です。コロナ禍ということもあり、それまで他大学との交流など皆無に等しかったなかで、このような取り組みに参加出来ること自体が非常にワクワクするものでした。千葉大学に関して言えば、都心から比較的距離があるためインカレサークルのような複数大学が集まる場がほとんど存在せず、今回のフォーラムは今までに関わりのなかった学生間の交流を広げるという意味においても有益なものであったと感じています。
初回ミーティングののちに各々が班に分かれ、アクションプランの作成や広報、ロゴの作成などに取り組み始めました。私はアクションプランの作成に主に携わっていたため、今回はそれに関する大まかな流れをお伝えします。
まず初めに行ったことは、“自分たちがどのようなまちに住みたいか”を明確にすることです。Z世代である学生メンバーが、今すぐに引っ越すことができるのならどんなまちに移りたいのか、ということを考えることで、今回のフォーラムに大学生が参加することの意味を見出しました。そもそもこのようなSDGsの活動は、わざわざ大学生が参加して行う必要は必ずしもありません。しかし今回のフォーラムは大学生が主体となって企画や運営を行なう、という方式がとられています。このような方式でフォーラムを行なうからには、まずは大学生が住みたいと感じるまちがどのようなものなのかを素直に明らかにする必要があると考えました。出てきた意見の中には、行政が負担するコスト等を鑑みると実現可能性の低いものも多数ありました。しかし、実現可能性が低いからと言ってアクションプランの候補から外してしまう、というやり方に“大学生らしさ”が存在していないという観点から、どんな意見であっても「こんなまちに住みたい!」と感じることが出来たら候補に入れて実現性のなるべく高い方法を探る、という流れで議論を進めていきました。
また、アクションプランの作成を担当するメンバーの中には、今回の提案の舞台となる常盤平団地に小さなころから馴染みを持っている学生が数人いました。日常としての常盤平を知っている学生が出す意見と、常盤平には数回しか行ったことのない学生が出す意見とが混ざり合うことで、外部の人間が考えるまちの魅力と常盤平に住んでいる方々が考えるまちの魅力とのギャップを明らかにし、そこを埋める作業を行なうことができました。これまでの地域活動の経験から、潜在的なまちの魅力を引き出すには住民の方との密接な関わり合いが不可欠であると考えていたため、今回の学生メンバー間でこのような意見交換が出来たことはとても有益であったと感じています。
学生が住みたいまちの意見を出し合っていく中で、私が特に若者らしいなと共感したキーワードを1つご紹介します。それは、“効率を求める”というものです。こちらはまちづくりだけに関するキーワードではありませんが、自分を含めた若者の傾向を的確に捉えているような感覚がありました。YouTubeやNetflixなど、動画視聴は世代を問わずに現代の娯楽の1つとして確立していると言えるでしょう。動画における効率とは、短い時間でより多くの情報が手に入る、ということです。TikTokやYouTube Shortsが多くの若者を魅了していることからもわかるように、Z世代の生活には効率よく情報を獲得することが出来る動画の存在が欠かせないのではないか、と感じた瞬間でした。最終的にはこのような意見をまちづくりの場にどのように活かすのか、という点についてまで議論を進めることが出来たため、大学生が考える魅力的なまちを考えるうえでは有意義なアプローチであったと考えています。
自分事として考える
アクションプラン作成の過程で次に行ったことは、理想として掲げたまちの姿になるために今の常盤平が直面している課題は何か、ということについてヒアリングなどを通じて考える作業でした。有識者に対するヒアリングでは、常盤平に詳しくない学生からの質問も相次ぎ、長年松戸市内で活躍されてきた方々が感じている課題等のインプットを得ることが出来ました。また、学生メンバーがまち歩きをして感じた課題についても有識者の方々に意見を問うことができたため、自分で見つけた課題を自分の力で解決のプロセスに落とし込み、自分事として課題を認識することにも繋がったのではないかと考えています。
このように各班がアクションプランを作成したのち、2月17日に開催されたまつどSDGsフォーラムにて発表を行いました。開催までにはフォーラムのロゴを作成したり、各種SNSにおいて広報活動を行なったり、何度も会場に足を運んでフォーラムがスムーズに進むよう調整をしたりと、アクションプランの作成以外の業務についても学生が主体となって取り組み、本番を迎えることが出来ました。アクションプランの中身については、過去の投稿からご覧ください。また、フォーラムの模様はYouTubeにて公開される予定ですのでぜひチェックしてください!
まつどSDGsフォーラムを終えての感想
私は大学入学後に地方創生に関する活動に携わりはじめ、様々なローカルエリアに足を運んできました。今回の取り組みでは主題はSDGsということで、幾度か授業等で取り扱ってきたことはあるものの、今までとは違うテーマであることに少し不安がありました。しかしいざアクションプランの作成に取り組んでみると、今まで地域活動で取り組んできたこととそこまで本質は変わらないものであることに徐々に気が付くことが出来ました。地方創生とSDGsの親密性はもちろん、SDGsという概念がガチガチに囲われた崇高な信念というわけではなく、境界線が溶けた、包括的な概念であるという点を実感することができました。
また、フォーラムでアクションプランを発表しただけで終わりでは意味がない、という思いがとても強く残っています。一過性のイベントで終わってしまうようでは、その効果も一時的なものに過ぎないものとなってしまうでしょう。私たちが関係者の方々から頂いた意見や、まち歩きをして得た課題等は、後輩の学生たちに引き継いでいく必要があると考えています。「大学生」は個人を変えて、半永久的に存在し続けることが出来ます。持続的に松戸市のSDGsを考えていくためには、スタートである私たちの代が持続させるための仕組みづくりを行なう必要があるでしょう。今回参加した4大学においても組織の継続のためのつながりを維持し続ける必要があるのではないでしょうか。
そして何より、今回発表した大学生自身がそれぞれのステージでできることをすることが大切です。私を含めた4年生のメンバーは学生ではなくなります。後輩へのアドバイスはもちろんのこと、社会人としての生活の中で実践できることや気付きを、今回つながった人脈の中に反映させることが出来れば、持続的な活動の一助となるのではないでしょうか。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。令和4年度の㈱ミライノラボ・学生研究員の投稿はこれで最後となります。この場をお借りして松戸市役所の職員の方をはじめとした、関係者の皆様にお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします!