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Z世代が提案する持続可能なまちづくりとは?まつどSDGsフォーラム

こんにちは、松戸市とともにSDGsの普及啓発や調査研究に取り組んでいる㈱ミライノラボの学生研究員・千葉大学園芸学部1年の小澤将和です。

先月2月17日、流通経済大学新松戸キャンパスで「まつどSDGsフォーラム」を開催しました。このフォーラムは松戸市内にキャンパスを構える「聖徳大学」、「流通経済大学」、「千葉大学」、「日本大学」の4大学の学生たちが中心となって開催しています。今回は、「常盤平団地エリア」をテーマに、「Z世代が提案する魅力的で持続可能なまちづくり」のアクションプラン発表と有識者とのパネルディスカッションを行いました。アクションプランは7つの班によって作成され、緑・自然に関するアイデア、コミュニティに関するアイデア、活動主体に関するアイデアの3つのテーマから常盤平団地エリアをより魅力あるまちにする方法を考えました。

今回は先日の「まつどSDGsフォーラム」で発表された7つのアクションプランについて、内容を簡潔に紹介します。また、これらのアクションプランに対して、今後各アクションプランの実現に携わっていく研究員の一人として、私個人が感じたことを述べていきたいと思います。

アクションプラン1
「掛け合わせで弱みを強みに!~常盤平の緑×足元イルミ」

 このアクションプランは常盤平団地の豊かな緑を維持しつつ、夜間の明るさを確保するにはどうしたらよいか考えたアクションプランです。そのために足元にイルミネーションを設置することで、街路樹を伐採することなく、歩道の凸凹の危険性を回避することができます。また、イルミネーションを設置する際に市内アーティストとコラボしたりや、動画プロモーションを行ったりすることで、コミュニティ形成や商店街の活性化にもつなげることを目標としています。
 私はこのアクションプランについて、緑が多いため、太陽光が遮られてしまうといった課題や、街灯が設置しにくいといった課題を、イルミネーションという活気あふれる方法で解決しようとしている点が素晴らしいと思いました。夜桜のような植物とライトアップの共存は都会にも田舎にも見られない新たな風景であり、常盤平団地の緑をより活かしたアクションプランといえます。また、イルミネーション設置の過程でアーティスト・大学生・商店街・地域住民が関わり合うことにより、常盤平団地の魅力の再発見や、活発なコミュニティ形成のきっかけになる可能性があり、ポテンシャルを秘めたアクションプランだと思いました。

アクションプラン2
「常盤平団地のコミュニティ農園から広がる「食」を通じた人々の繋がり」

このアクションプランは多様な主体で共同運営するコミュニティ農園を通じて、住民同士の交流機会を確保することや、食品ロスを減少させることを目的としています。具体的にはレイズドベッドの導入、共用のコンポストの設置、子ども食堂との連携、収穫した野菜の販売などを行うことを計画しています。
 私はコミュニティ農園は持続可能性の観点からも、地域活性化に大きな役割を果たしうるアイデアだと感じました。住民同士の交流による精神的健康や農作業を通じた身体的健康に寄与するため、高齢者の割合が高く、孤独死の防止が重要な課題である常盤平団地に今後必要となってくる可能性があります。また、コンポスト活用による生ごみ削減や、子ども食堂との連携による貧困問題解決はSDGsのゴールに対応しており、将来性を持ったアクションプランといえます。農園運営は地域住民と学生が共同で行うため、多世代交流のきっかけにもなり、今後の常盤平団地のあり方を考える機会が提供されるのではないでしょうか。

アクションプラン3
「歩きたくなる健康なまち@常盤平団地」

このアクションプランは常盤平団地の高齢者を主なターゲットとして、歩行活動を活発にするためのアクションプランです。身体活動に関する科学的な情報や、豊かな自然などのインセンティブを用意したウォーキングコースを策定し、またそのコースの普及活動を行います。SDGsの3番目の目標である「すべての人に健康と福祉を」の達成に寄与することができ、健康なまちへのニーズに確実に応えることができます。
 コロナウイルス感染拡大に伴って、外出時間は減少傾向にあるといえます。外でのウォーキングは心身の健康に良い影響があることから、高齢者の割合が高い常盤平団地ではこのアクションプランの重要性は高いと思いましたまた、Z世代も室内で過ごす時間が増え、健康上のリスクを抱える人が増加しているように感じています。そんな中、歩きたくなるようなまち、ウォーキングコースを科学的に策定することで、現状の課題解決にとどまらず、将来常盤平団地に移住したいと考える人の増加に期待することができます。多くの人が関わることにより質の高いウォーキングコースが生まれるため、学生・地域住民・市役所などが連携してこのアクションプランに取り組むことは非常に意味があると思いました。ウォーキングコースを通じて地域住民も知らない常盤平団地の魅力が再発見できる可能性もありそうです。

アクションプラン4
「多世代が活用可能な憩いの場がある常盤平」

このアクションプランは常盤平団地に多く存在する公園を活用したアクションプランとなっています。具体的には、金ケ作公園を多世代が集まる核の公園、周りの小さな公園を各ニーズに合った公園とし、多世代交流を図ります。公園では定期的にイベントを開催し、公園に訪れるきっかけを作ることもアクションプランに盛り込まれています。
 既にあるものを利用・リニューアルするという視点からのアクションプランです。公園は自由に集まれる場としては優れているものの、十分に活用されていないものも多くあるかと思います。これらの公園に対して、利用住民のニーズを調査し、定期的なイベントを開催するといった取り組みは交流面・健康面ともに効果があり、何よりプランが実行しやすいという利点があります。遊具やベンチのペンキ塗りイベントを行うことで、公園に対する愛着を持ってもらうことは、憩いの場形成において重要や役割を果たすと思います。地元だからこそ自分たちで作り上げるという考え方は、昨今の地域交流の希薄さを改善する筋道になるのではないでしょうか。

アクションプラン5
「外国人と「共生」する町を目指して」

 このアクションプランは、常盤平団地内で約1割にのぼる外国人の方と共生するために、お互いの国について知る広報活動や多文化交流バザール開催を行うアクションプランです。日本人外国人を問わないコミュニケーションの活発化により、団地内のトラブルを防ぎ、住みよいまちにする目的があります。
 外国人に対する日本文化の手紙や、日本人に対する外国文化のポスターにより、まずはお互いの国について知識的に知り、多文化交流バザールでは実際の会話や売買を通して感覚的にお互いについて知ることができる点が良いと思いました。広報活動は大学生の活動として実行がしやすく、多くの人を対象とできるため活動に期待できます。多文化交流バザールは外国人が多い常盤平団地だからこそ行える催しであり、常盤平団地のみならず他の場所からの参加者を期待することができ、将来的な居住人口を増加させるポテンシャルがありそうです。実際に外国人が日本人との交流を望んでいることからも、このアクションプランの実行には需要があり、すべての国の人が平等に暮らせる持続可能なまちづくりにおいて、効果的な取り組みになると思われます。

アクションプラン6
「アートを通じた外国人住民と日本人住民の交流イベント」

 常盤平団地の約一割にのぼる外国人住民との交流の少なさを解決するために、言語のいらないアートを活用するアクションプランです。これにより交流の大きな障壁となる言語の壁を乗り越えることができるほか、共同でアートを創造することにより、共通の帰属意識を持ち、新しい一つの文化を作り上げることができます。
 アートを通じて交流することは、言語を必要としないためハードルが低く、多文化交流に最適であると思いました。また、間文化主義という言葉で表せるように、中心文化にマイノリティ文化を合わせるのではなく、一つの新しい文化を生み出し共生するという論理的なビジョンがあり、大変すばらしいと感じました。協力してアート創造に取り組むことで、お互いのステレオタイプを取り除き、帰属意識が持てる点は共生において最も重要なポイントをクリアしているといえます。実際にE街区には老朽化した壁があり、これをペイント等することによって、地域の外観向上にも寄与できます。今後、活発な活動とするためには、ワークショップを継続して行うことが参加者同士の信頼関係を築くうえで重要となりそうです。

アクションプラン7
「TOKIWADAIRA YOUTH! 常盤平×若者、動き始めます」

 少子高齢化による地域の活力衰退や、自治会の高齢化を防ぐために若者を交えた団地内活動の運営団体を設立するアクションプランです。理想の常盤平団地について多世代間で共通認識・目的を持ち活動することで、より団結力のある団体を目指します。また、交流機会を創出することや、広報力を強化することで活動主体をより活発にします。
 常盤平団地をより魅力的なまちにするために、まずはその母体である活動主体創設に力を入れるアイデアであり、基盤となるアイデアであるためその重要性は高いと考えられます。高齢化が進む自治会では活動を指示する人が不足したり、実行に踏み切りにくかったりする課題があるため、これらの課題を解決できる若い人が参加しやすい団体づくりは正に必要なことだと思いました。活動主体が確立することにより、交流機会の創出が見込めるため地域の活力増加につながります。また、広報力強化により常盤平団地外の人にも団地の良さを知ってもらい、Z世代が住みたくなるまちをアピールできる可能性もあります。定期的な活動を持続できれば常盤平団地に大きな貢献ができるため、このアクションプランには大きなポテンシャルがありそうです。

おわりに

どのアクションプランも常盤平団地の課題を解決し、より魅力的にすることのできる実現性の高いものだと感じました。アクションプラン作成には各班の調査や討論など様々な努力や工夫があり、常盤平団地の将来について真剣に考えていました。来年度はこのアクションプランの実現に向けてミライノラボ研究員一丸となって、より一層尽力したいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。

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